
日常英会話や海外ドラマを見ていると、難しい単語は使っていないのに「どういう意味?」と首をかしげてしまう表現に出会うことがあります。
昨日寝る前にいつもの様に動画を眺めていると、ライアン・ゴズリング主演の新作映画”PROJECT HAIL MARY”(プロジェクト・ヘイル・メアリー)の予告が目に入りました。
どんな作品なのかも知りませんでしたが、リスニングの練習と思い動画を見始めました。
太陽のエネルギーが奪われる異常現象が発生。このままでは人類は滅亡してしまう。原因は不明だが、同じ現象は太陽だけでなく宇宙にある無数の恒星でも起こっていた。そんななか11.9光年先に唯一無事な星が発見される。人類に残された策は、宇宙船でその星に向かい、太陽と人類を救うための謎を解くことだった。この“ヘイル・メアリー”プロジェクトのため宇宙に送り込まれるのが、しがない中学教師グレース(ライアン・ゴズリング)。遠く離れた宇宙でのたったひとりのミッションだったが、そこで同じく母星を救おうと奮闘していた異星人ロッキーと出会う。姿かたちも言葉も違う2人は、科学を共通の言語にして難題に立ち向かい、その過程で友情を育んでいくが……。
あらすじはこんな感じ。
準備はいいですか?
では、予告編をどうぞ!
“PROJECT HAIL MARY”
映画自体はもちろん面白そうでした。
しかし、私が気になったのは開始0:55秒辺りの会話です。
グレース:”It’s 11.9 years away. The astronauts die in space?”(11.9光年離れている。宇宙飛行士は宇宙で死ぬのか?)
女性:”It’s what you Americans would call a long shot.”(あなたたちアメリカ人ならロング・ショットと言うわね)
グレース:”HAIL MARY. I get it.”(ヘイル・メアリー。分かった。)
「a long shot」という表現、直訳すれば「遠くからの射撃」。
これってどう考えてもイディオムですよね?
ということで今日はこの”a long shot”を深掘りしていきます。
調べますので少々お待ちを。
1. 「a long shot」の核心的な意味
結論から言うと、a long shot は 「望み薄な計画」「的中しそうにない推測」「ほぼ不可能な試み」 という意味でした。
もう少しカジュアルに言えば「万に一つの可能性」「大穴(競馬など)」「ダメ元」 といったニュアンス。
- It’s a long shot. (望みは薄いね。)
- Not by a long shot. (全くそんなことはない、到底及ばない。)
このように、名詞として使われることもあれば、否定文を強調するために使われることもあります。
2. なぜ「長い射撃」が「望み薄」になるのか?(語源の話)
この表現の由来には諸説ありますが、主に2つの説が有力です。
① 弓矢や銃の射撃
文字通り、非常に遠くにある標的を射抜こうとすることを指します。距離が遠ければ遠いほど、風の影響や手元の狂いが生じやすく、命中させるのは極めて困難です。この「当たる確率が低い」という状況が、転じて「成功する確率が低いこと」を指すようになりました。
② 競馬の「大穴」
19世紀の競馬界では、的中した時の「払い戻しが(長い行列ができるほど)大きい」ことから、勝ち目の薄い馬(オッズが高い馬)に賭けることを指していました。
3. ビジネスや日常で使える!実践フレーズ集
シチュエーションA:会議での提案(ダメ元で)
“I know it’s a long shot, but we should try to get a sponsorship from Google.”
「望み薄なのは分かっていますが、Googleにスポンサー契約を打診してみるべきです。」
このフレーズの面白さは、「可能性は低いと分かっているけれど、やってみる価値はある」 という前向き感があるところです。
シチュエーションB:全く当たっていない推測
“Is he planning to quit?”
“That’s a long shot. He just got promoted!”
「彼、辞めるつもりかな?」
「それは考えすぎだよ(まずありえない)。昇進したばかりなんだから!」
シチュエーションC:強い否定(Not by a long shot)
「Not by a long shot」は「全く〜ない」「到底〜ない」という強い否定を表します。
“Are we finished yet?”
“Not by a long shot. We still have hours of work left.”
「もう終わった?」
「全然だよ。まだ何時間も作業が残ってる。」
「long(長い)」と「shot(放つこと)」。
中学レベルの単語の組み合わせがこんな意味になって、映画のセリフが一つ聞き取れるようになる。
これこそ英語学習の醍醐味。
そして忘れないように口に出すことも大切ですよね。
皆さんも、ぜひ今日から「ダメ元でやってみる」と言いたい時に、このフレーズを使ってみてください!
それからもう一つ。
“a long shot”を調べていたら、どうしてもお伝えしなければいけないことを発見しました。
それはこの映画のタイトルになっている”HAIL MARY”です。
ラテン語で言えば「アヴェ・マリア」、聖母マリアに祈る言葉ですが、
アメリカンフットボールで敗色濃厚な終了間際に、神に祈るような思いで投げる超ロングパス(ヘイルメアリー・パス)から、成功確率が極めて低い状況での起死回生の一手を指す比喩として広まりました。
つまり、「イチかバチか」「神頼み」
“PROJECT HAIL MARY”は「プロジェクト・イチかバチか」だったんですね。
では、もろもろ頭に入れて今日の会話を訳していきます。
女性:「あなたたちアメリカ人ならダメ元と言うわね」
グレース:「イチかバチか。わかった」
この映画、3月20日から上映が始まっています。
字幕に頼らずに楽しむのはもしかしたら無理かも...
It’s a long shot but why don’t you givei it a shot!
今日もお付き合いいただきありがとうございました。
See you tomorrow.