
こんにちは!日常英会話やビジネス英語を勉強していて、「知っている単語しか使われていないのに、なぜか意味がさっぱり分からない…」という経験はありませんか?
学校で習うようなシンプルな単語ほど、実は「裏の顔(意外な意味やイディオム)」を持っています。
このブログではそんな「裏の顔」を調べ上げ、皆さんと共有しています。
今回スポットを当てるのは、皆さんも絶対に耳にしたことがある超メジャーな動詞「commit」
この表現に出会ったのは、The Asahi Shimbun・“Storyteller spreads message of peace through ‘rakugo’ comedy”、これまで12か国、70都市以上で落語を披露してきた三遊亭竜楽(りゅうかく)さんのお話です。
現在も世界各地で落語を披露する三遊亭竜楽ですが、そのきっかけは2008年にイタリアを訪れた時にありました。現地の「日本フェスティバル」に招かれ、落語を披露するよう依頼されたのでした。
イタリア語など話せず、それでいて依頼を断ることもできず...
そしてそこに今日の勉強がありました。
With no sufficient budget for Italian subtitles, Ryuraku decided to commit all translations of the planned performances to memory.
これまで何度となく “commit” は見てきましたが、その度「訳」の多様さに翻弄されてきました。
思い切って調べ上げ、深掘りし、今回決着を付けたいと思います。
少々お待ちください。
1. 私たちがよく知る「結果にコミットする」の意味
「コミット」と聞いて、まず頭に浮かぶのは某有名パーソナルジムのキャッチコピー「結果にコミットする」ではないでしょうか。
- 目標に対して全力を尽くす
- 責任を持って約束する、やり切る
- 深く関与する
というようなニュアンスを感じます。
「あのプロジェクトにコミットする」「今期の売上目標にコミットする」と言えば、「強い覚悟を持って取り組み、成果を出す」という非常にポジティブで熱い決意を表しますよね。
しかし、英語の「commit」という単語の本質を知ると、この熱いイメージは数ある意味のほんの一部に過ぎないことが分かりました。
2. そもそも「commit」のコアイメージとは?
なぜ「コミット」が「責任を持つ」「全力を尽くす」という意味になるのか。それを紐解くために、英語の “commit” が持つ本来のコアイメージを覗いてみましょう。
この単語の本質は、実はとてもシンプルで、
「(ある場所に)人やモノをしっかりと送り込む、委ねて固定する」
何かを特定の場所に「カチッと収めて動かなくする」というのが、この単語の根底にある感覚。
このコアイメージを頭に置いて、先ほどの「結果にコミットする(=全力を尽くす)」を英語的に解釈してみましょう。英語では commirt oneself to … という形でよく使われます。
- 自分のエネルギーや時間(oneself)を、特定の目標(to…)にすべて投げ込んで固定する
例文
She committed herself to improving her English skills.
「彼女は英語力向上に専念することを決意した。」
I am committed to improving my English.
「私は英語力を向上させることに全力を尽くしています。」(受け身形)
つまり、「脇見せず、自分の身をその目標に捧げる」そこから、「全力を尽くす」「責任を持つ」という意味になりました。
コアイメージから広がる意外な意味
この「投げ込んで固定する」というイメージが分かると、一見バラバラに見える他の意味もすんなり繋がってきます。
- 犯罪を犯す (commit a crime) ⇒自分の身を「悪事」という場所に投げ込んでしまう。
- (病院や刑務所に)収容する (be committed to a hospital) ⇒ 人の身柄を「施設」にしっかりと送り込んで固定する。
3. では「commit to memory」はどういう意味?
「コミット」のコアイメージが「ある場所に送り込んで固定する」だと分かったところで、いよいよ今回の本題である “commit to memory” に話にいきましょう。
commit(~を送り込んで固定する)to memory(記憶という場所に)
つまり、答えはこうです。
commit to memory 「〜を記憶する、〜を暗記する、〜を心に刻む」
「結果にコミットする」のイメージから始めは、「記憶に対して全力を尽くす…?」と混乱してしまいましたが、コアイメージで考えれば、なるほど一発!
”ただなんとなく覚える”のではなく、”記憶にしっかり残す”ニュアンスがあるそうですが、イメージが掴めるとそれもわかる気がします。
例文でイメージを確かなものに
I need to commit this speech to memory by tomorrow.
「明日までにこのスピーチを暗記しなければならない。」
She committed the license plate number to memory.
「彼女はその車のナンバープレートの数字を記憶に焼き付けた。」
“Don’t worry, I have committed all your instructions to memory.”
「ご心配なく、ご指示いただいたことはすべて頭に叩き込みました。」
“Before the presentation, make sure you commit the key data to memory.”
「プレゼンの前に、主要なデータは必ず暗記しておいてください。」
“I didn’t have a pen, so I had to commit her phone number to memory.”
「ペンを持っていなかったので、彼女の電話番号を必死で暗記しなければならなかった。」
では最後に「commit to memory」をマスターしたあなたに、おまけでクイズです。
「memory(記憶)」の代わりに「paper(紙)」を持ってくるどんな意味になるでしょう?
そうです、お察しのように答えは、
commit to paper 「〜を紙に書き留める、文書化する」
例文
“Before we forget these ideas, let’s commit them to paper.”
「これらのアイデアを忘れてしまう前に、紙に書き留めておきましょう。」
では今日の文を訳してきます。
With no sufficient budget for Italian subtitles, Ryuraku decided to commit all translations of the planned performances to memory.
「イタリア語の字幕を付ける予算が無かったので、竜楽は予定していた演目の翻訳を全て頭に叩き込むことにしました。」
今回取り上げた “commit” には、「犯す、委ねる、専念する」など、様々訳し方はありますが、皆さんの “memory” に 繋がりをもって”commit” していただけたら嬉しいです!
今日もお付き合いいただきありがとうございました。
See you tomorrow.