
スマトラ島出身のナザヤさんは、小さな頃から”ドラえもん”が大好きで何となく日本に憧れを抱いていました。そんなこともあり大学では日本語を勉強し、卒業後も日本との結びつきを探し求め、日系企業での職をつかみ、ついに憧れの日本にやって来ることができました。
こんにちは!今日読んでいくのは The Asahi Shimbun・“Halal food tips in Saitama from a resident-turned-PR ambassador” です。
記事の写真に写るのが今日の主人公、ナザヤさん。ご覧のように、ムスリムの彼女が日本に引っ越してきたころの様子はどんなものだったのでしょう?
Initially, she was excited about living in Japan. But she was also faced with dietary difficulties.
「最初、彼女は日本で生活することにワクワクしていました。しかし同時に、食事面での苦労にも直面することになりました。」
At the time, there were only a limited number of eateries that served halal-certified, pork and alcohol-free dishes prepared according to Islamic precepts.
「当時は、イスラム教の戒律に従って調理された、ハラール認証済みの豚肉やアルコール不使用の料理を提供する飲食店は、ごく限られた数しか存在しなかったのです。」
そして次の文に今日の疑問がありました。
Sushi, eel, tempura, “yakiniku” grilled beef, hamburg steak—all manner of food is actually fine for Muslim diners as long as it is halal.
「寿司、うなぎ、天ぷら、焼肉、ハンバーグ……ハラール(戒律に沿った調理法)でさえあれば、すべての食べ物のマナーは、実際にはムスリムの客にとって問題ない……?」
……ん? 食べ物のマナー??
「お箸の持ち方」の話? それとも「串カツのタレは2回つけてはいけない」みたいなテーブルマナーのルールのことでしょうか。
しかし文脈をどう読んでも、食事の作法について語っている雰囲気ではありません。
どうやら私の知らない “manner” がまだ存在しているようです。
今日は “mannaer” を深掘ります!
1. 私たちの知っている「マナー」の限界
英語の manner(単数形)には確か「やり方」「方法」「態度」という意味がありました。
The architect designed the building in a modern manner. (その建築家は建物をモダンな様式で設計した。)
Please fill out this form in this manner.(この様式でフォームを記入してください。)
そして、私たちが日常的に使う「作法・礼儀」という意味で使うときは、末尾に s がついて manners(複数形)に。
He has no manners.(彼にはマナー/礼儀作法がない)
Table manners(テーブルマナー)
ここまでは平和です。しかし今回、私を惑わせた文章に登場したのは “all manner of” でした。
「すべてのやり方の食べ物……?」
「すべての礼儀作法の食べ物……?」
どちらで訳しても、全くしっくりきません。
2. “manner” の裏の顔
モヤモヤした私は、すぐさま辞書を引きました。すると、manner の定義の深い層に、ひっそりとこう書かれていたのです。
manner(名詞): [種類、タイプ、様式]
※主に all manner of … または every manner of … の形で用いられる。
な、なんだって……!?
「マナー」に「種類(kind / type / sort)」という意味があるなんて聞いてないよ。(単に忘れたのかも)
つまり、みんなご存じ “all kinds of X” や “all types of X” とまったく同じ意味だったのです。
これを踏まえて、冒頭の問題の英文をもう一度訳してみましょう。
「寿司、うなぎ、天ぷら、焼肉、ハンバーグ——ハラール対応でさえあれば、あらゆる種類の食べ物がムスリムの食事客にとって問題なく楽しめます。」
すっきりーーーー!!!
3. でもなぜ?
ここで疑問が湧きます。「やり方」や「礼儀作法」を意味するマナーが、なぜ「種類」という意味に化けるのでしょうか?
「マナーを守りましょう」の「マナー」と、「あらゆる種類の食べ物」の「種類」が同じ単語だなんて...たまにあるけどたまたま同じ綴りの別単語?
しかし、語源を遡ってみると、この2つは同じ根っこから繋がっていることが分かりました。
① すべての始まりは「手」
“manner” の語源を遡ると、「手」に行きつきました。例えば「手動」の manual や「製造(手で作る)」の manufacture と同居人ですね。つまり、原義は「手つき」「手の動かし方」でした。
- 手つき・手の動かし方↓
- 物事の「やり方・方法」(way)↓
- 世間で望ましいとされるやり方「作法・礼儀」(manners ※複数形)
ここまでは「やり方」の系統です。
② 「やり方(作り方)」から「種類」へのジャンプ
では、どうやって「種類」になったのか?
それはモノを見るとき、「どういう『やり方・様式(manner)』で作られたか」で分類したことがきっかけでした。
これが時代を経ていくうちに、「作り方の様式・スタイルによる分類」➔「種類(kind / type)」へと、意味の焦点がスライドしていったのです。
- かつての感覚: 「あらゆる『作り方の様式(manner)』の料理」
- 現代の感覚: 「あらゆる『種類(manner)』の料理」
4. “all manner of” を使った実践例文フレーズ
せっかく見つけた素敵な表現ですから、いくつかの例文でニュアンスを掴んでおきましょう!
The night market was packed with stalls selling all manner of strange and delicious street food.(ナイトマーケットには、ありとあらゆる種類のかわった、そして美味しい屋台フードを売る店が立ち並んでいた。)
When you start a new business, people will give you all manner of advice.(新しい事業を始めると、人々はさまざまな種類のアドバイスをしてくる。)
We talked about all manner of topics over coffee. (コーヒーを飲みながら、あらゆる話題について語り合った。)
その後ナザヤさんは、ハラル認証を受けた飲食店を探したは自身のSNSに投稿するようになります。そしてそれがキッカケとなり...
その後のナザヤさんのご活躍が気になるか方は是非本編で。
今日もお付き合いいただきありがとうございました。
See you tomorrow.