前回のブログ “in the shadow of:単なる「影」ではない場面” では、東京の大井競馬場のすぐ脇に週末現れるフリーマーケットに、世界各地から観光客が押し寄せていることがわかりました。

実はその時取り上げた英文にはもう一つ疑問に思うことがありました。
The Asahi Shimbun ・“Tourists gallop to a racecourse, but not to bet on the daily double” を見てみましょう。

they discover in the shadow of a racetrack a version of Japan that feels unfiltered, serendipitous and irresistibly photogenic.

そのもう一つの疑問とは “a version of” です。

『日本のバージョン…??』
「ソフトウェアのバージョンじゃあるまいし、『日本のバージョン』って一体どういうこと…?」

ということで、今日は “a version of” を深掘りします。

“a version of ~”「~の一つの姿、側面、表情」

なぜこんな意味になるのか?
調べてみると「なるほどね」な理由がわかりました。

では”virsion”という単語のイメージから話していきましょう。

日本語で「バージョン」というと、アプリの「Ver. 2.0」や「製品の新バージョン」といったIT・機械的な言葉を連想しがちですよね。しかし、英語の version の根底にあるのは「同じ一つの対象から派生した、異なるバリエーション(見せ方・語られ方・表現)」というイメージです。

  • 例えば、ひとつの古典物語があっても、映画版、アニメ版、小説版という「異なるバージョン(a version of the story)」が存在します。
  • 同じように、「日本」という国や「ある人物」という大きな存在も、切り取る角度やシチュエーションによってまったく違う顔を見せます。
  • 観光地としての「礼儀正しくハイテクな日本」もあれば、路地裏の「泥臭くノスタルジックな日本」もある。その数ある表情のうちの「ひとつとして現れた姿」を指して、a version of ~ と表現するのです。

英語の 「a version of ~」 は、まさにこの「多面的な存在が見せる、特定の“ひとつの顔・ありよう・形態”」 という情景を表現した比喩なのです!

「〜のひとつの姿」「〜としてのありよう」「〜のもうひとつの顔」「〜のバリエーション」 などの訳語が合いそうですね。

シチュエーション別!「a version of」の使い方と例文

調べていくうちに、”a version of”は今回のように国や街の雰囲気を描くだけでなく、人物の成長、物語の解釈、歴史の語られ方など、幅広い場面で好んで使われていることが分かりました。

具体的シチュエーション別に使い方を見ていきましょう!

① 国・街・文化:「〜のひとつの姿・もうひとつの顔」

冒頭の記事のように、場所や文化が持つ多様な表情のうち、特定の側面をフォーカスして描く場面です。

  • 例文 1:Visiting the quiet countryside allowed us to experience a version of France that tourists rarely see.「静かな農村を訪れたことで、観光客がめったに見ることのないフランスの『もうひとつの姿(顔)』を体験することができた。」
  • 例文 2:The night market presents a darker, more vibrant version of the city.「夜市は、その都市のよりディープでエネルギッシュな『もうひとつの側面』を見せてくれる。」

② 人物・自己表現:「〜としての自分・ある一面」

人間の多面性を表す使い方です。

  • 例文 3:I am trying to become a better version of myself every single day.「私は毎日、『より良い自分(昨日の自分を超えた姿)』になろうと努力している。」
  • 例文 4:At work, she shows a very authoritative version of herself.「職場では、彼女は非常に威厳のある『一面(顔)』を見せる。」

③ 話・ニュース:「〜という解釈・〜版の説」

ひとつの事件や物語について、語り手によって内容が異なる「説」や「ストーリー」を指す場面です。

  • 例文 5:He gave the police his version of the event.「彼は警察に対し、彼自身の見解を語った。」

単語帳で見るように「version = 版、型」と固定観念に縛られてきましたが、a virsion of “virsion” に触れられた気がします。
では、今日の文を訳していきましょう。

they discover in the shadow of a racetrack a version of Japan that feels unfiltered, serendipitous and irresistibly photogenic.
「競馬場の影で、飾り気がなく、思いがけず出会え、そして思わず写真を撮りたくなるような日本の一面を見つける。」


「ステレオタイプな『綺麗で洗練された日本』という一面だけでなく、ローカルな熱気やノスタルジーを纏った『もうひとつのリアルな日本の顔』」 というようなニュアンスが何となく伝わる気がします。sidepart ではなくこの version という言葉を選んだ理由が、もしかしたらそこにあるのですかね。

今日もお付き合いいただきありがとうございました。
See you tomorrow.

投稿者

らくだ

身の回りにある無料の素材にチョット寄り道。 そこで出逢った「知ってる単語の知らない意味」をTOEICや英会話に生かそうと日々奮闘中! らくだ君の気付きのブログです。

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