
日常でよく使うおなじみの単語が、実はまったく違う意味を持っていて驚いたことはありませんか?
学校の英語の授業で誰もが最初に習う超基本動詞の一つに、”fall”(落ちる、倒れる)があります。 「秋」という意味の October や November と一緒に覚えたという方も多いでしょう。
しかし、英語の”海は深い”です、いや、今日の話題からすると”森が深い”です。この馴染み深いはずの “fall” にそっくりな、あるいは “fall” の変化形に見える表現の中に、あなたの知らない(正確に言うと私は知らなかった)意味が隠されていました。
その単語を見つけたのは、昨日のブログ “a special something:あれっ?語順が違うような?” の続きで “Unique Trees Grow in Forest in Japan’s Yamagata Pref., Giant Cedars Stand Twisted and Gnarled but Unbowed” を読んでいたときでした。
ガイドのタカハシさんに案内され「幻想の森」を歩くと、ねじれたり、こぶがあったり、中には幹に大きな穴があいた杉の木が周りを囲んでいました。
「なぜ穴があいているのか?」
答えの仮説に今日の勉強がありました。
According to Takahashi, this was once a feudal domain forest, where felling trees was prohibited. One theory has it that the holes were created when local residents secretly hollowed out the trunks to get wood for use in their daily lives.
「fall の過去形が fell だから、ええと……『木が倒れた』?」
でも”~ing”形になってるしな。
と言う訳で、今日の深掘りは “fell a tree” に決定!
では調べてまいります。
1. 「木が倒れた」ではない? “fell a tree” の衝撃
まず結論からお伝えします。 “fell a tree” の本当の意味は、「木を切り倒す」です。
ポイントは、このフレーズにおける “fell” が「過去形」ではなく「現在形(原形)」の動詞として使われているという点です。
私たちがよく知っている「倒れる、落ちる」の “fall” の不規則変化はこうです。
fall(現在) – fell(過去) – fallen(過去分詞)
この変化表の真ん中にある過去形の “fell” と、今回ご紹介している “fell” は、見た目も発音もまったく同じ(同音同綴)ですが、完全に別の動詞でした。
今回登場した動詞 “fell” の変化は以下のようになります。
fell(現在) – felled(過去) – felled(過去分詞)
こちらは規則変化(-ed がつくタイプ)の動詞です。 つまり、”fell a tree” は「木を切り倒す(現在形)」という意味になり、もし過去に切り倒したと言いたければ、“He felled a tree.”(彼は木を切り倒した) となります。
- A tree fell. = 木が(自ら、あるいは風などで)倒れた。
- He fells a tree. = 彼は木を(斧などで)切り倒す。
2. どこかで見たような組み合わせ
実にややこしい。
でもこの”ややこしさ”、初めてではない感じがします。
そう!
- lie(横たわる・自動詞) の過去形は lay。 (例:I lay on the bed. = 私はベッドに横たわった。)
- lay(〜を横たえる、置く・他動詞) の現在形は lay。 (例:Lay the book on the table. = 本をテーブルに置きなさい。)
この二つと全く一緒でした。
「高校の頃苦労して覚えたな~、でも今回は2回目だからまだましか...」
3. なぜ “cut down a tree” じゃないの?
「でもさ、木を切り倒すなら “cut down a tree” って言えばよくない?」
調べてみたら大正解でした。日常会話や一般的なニュースでは、圧倒的に “cut down a tree” や “chop down a tree” の方がよく使われるようです。
では、なぜわざわざ “fell” という単語が存在し、使われているのでしょうか? そこには「専門性」と「ニュアンスの響き」の違いがありました。
林業やプロの現場での「専門用語」
“fell” は、ただ単に木を切り倒すだけでなく、「プロが目的を持って、計画的に巨木を切り倒す(伐採する)」というニュアンスを強く含みます。 日本語で言うなら、”cut down” が「木を切る」「切り倒す」という一般的な表現なのに対し、”fell” は「伐採(ばっさい)する」という少し硬い、プロフェッショナルな言葉遣いに近いのです。 ちなみに、木を切り倒す職人(きこり・伐採作業員)のことは “feller” と呼びます。
4. “fell” を使った、木を切り倒す以外の「意外な表現」
“fell” の持つ「(大きなものを)なぎ倒す」というニュアンスは林業以外の分野でも重宝されているようで、例えば...
① ボクシングで相手を「ぶっ倒す」
“The champion felled his opponent with a single punch.” (王者は一撃のパンチで対戦相手をなぎ倒した。)
② 病気が人を「倒す」(病に倒れる)
“He was felled by a sudden stroke.” (彼は突然の脳卒中に倒れた。)
では、応用編も確認したところで今日の文を訳していきます。
According to Takahashi, this was once a feudal domain forest, where felling trees was prohibited. One theory has it that the holes were created when local residents secretly hollowed out the trunks to get wood for use in their daily lives.
「タカハシさんによると、ここはかつて藩の領林で木の伐採は禁止されていた。なので領民が薪にしようとこっそり木の幹をくりぬいたので穴ができてしまったという説がある。」
ウソか誠か?いずれにせよ幹に穴があいている木なんてレア中のレア。興味のある方は是非山形へ。
今日もお付き合いいただきありがとうございました。
See you tomorrow.