
こんにちは!「その言葉、実はそんな意味もあるの!?」をテーマに、意外な英単語やイディオムを紹介するこのブログへようこそ。
1年ほど前になりますが、“英語:「ハマった、ツボに入った」は?” の回で、何かに大ハマりしている状態を表す “get hooked on” をご紹介しました。「釣り針に引っかかるように、抜け出せないほど夢中!」という、どこかワクワクするハッピーな表現でしたよね。
さて、今回ピックアップするのも、同じ「フック(hook)」を使ったフレーズ。 ですが……
さっそく今日の勉強に入りましょう。
前回 “heavy-handed:「手が重い」でもお医者さん案件じゃありません” で読んでいたのは The Asahi Shimbun・“J-pop’s global rise forces Japan to rewrite music royalty rules” でした。
音楽著作権に関する法律が改正されることで、シンガーや演奏家など、これまで楽曲製作に携わりながらも著作権料とは無縁だった人たちにも、著作権料が支払われることになりました。
しかし、そのことは、BGMを流す事業者が新たな使用料を負担することを意味します。
“With rising fuel, utility, and raw material costs, the food and beverage industry is already stretched to its limits,”
「施設光熱費・原材料費が高騰し、飲食業界は既に限界。」
“Public awareness of this new right is still insufficient, and even if we pass on the costs, it would be difficult to gain customer understanding.”
「この新たな権利の社会的認知は不十分、仮にこうしたコストを転嫁したら、お客さんの理解を得るのは難しい。」
ただでさえ厳しい経営状況での新たな負担、心配する声があがります。
そして実際どれ程の事業者が影響を受けるのか?
そこに今日の勉強がありました。
An estimated 1.57 million businesses, or 30 percent of all industries, could be on the hook for the new royalty payment.
直訳すると「〜のためにフック(針)の上にいる」となります。
話の流れからして「夢中になる」なんて悠長なこと言ってる場合じゃなさそうですし、一体どういう意味なのでしょう?
では調べてまいりますので、少々お待ちを。
“be on the hook for ~”「(代金や罰金などを)支払う責任がある」「(義務や損害などの)責任を負わされている」
「夢中」どころか、意味が180度ひっくり返って、一気に世知辛い現実を突きつけられるような言葉でした。
前回の “be hooked on” が「趣味や恋愛に楽しく沼っている状態」だったのに対し、今回の “be on the hook for” は「逃げられない義務や、主に『お金』の支払いを背負わされてガケっぷちに立たされている状態」を表します。
釣りの針(hook)引っかかった魚は、もはや自力で逃げることはできません。そう考えると「責任から逃れられない状態」に追い込まれている様子を表すにはピッタリの表現なのかもしれませんね。
シチュエーション別の具体例と使い方
このフレーズは、具体的にどのような場面で使われるのでしょうか。いくつかのリアルなシチュエーションを見てみましょう。主に「お金の支払い」が絡むシーンで威力を発揮しているようです。
① 損害賠償や修理費を「弁償」するとき
If you break the item, you’ll be on the hook for the repairs.
「もし商品を壊したら、君が修理代を負担することになる。」
I accidentally scratched the rental car, so now I’m on the hook for a $700 fine.
「レンタカーにうっかり傷をつけちゃってさ、今700ドルの罰金を払う羽目になってるんだ。」
② ビジネスで「支払い責任」の所在を明確にするとき
The company is on the hook for all travel expenses incurred during the business trip.
「出張中に発生したすべての旅費は、会社が負担する責任を負っている。」
Who is on the hook for the damadges?
「その損害は、一体誰が補填する責任があるの?」
③ 同僚や友達との「割り勘」や「おごり」の場面
もう少しカジュアルに。
Since it was your idea to go to this expensive restaurant, you are on the hook for the bill!
「この高級レストランに行こうって言い出したのは君なんだから、お会計は君の奢りだからね!」
好き好んで”釣られに行く”魚がいないように、 “be on the hook for” は、「(本当は嫌だけど、あるいは予期せぬ事態によって)その重責や支払いを押し付けられている、逃げられない」という、当事者の負担感や窮地にあるニュアンスが強く滲み出ます。
では、その辺りのニュアンスを感じながら、今日の文を訳していきます。
「業界全体の30%、推定157万もの事業者が、この新たな著作権料の支払い義務を負うことになる。」
応用編:針から外れる “off the hook”
せっかくなので、このフレーズの対義語も一緒に覚えてしまいましょう! フックの上(on)から、外れる(off)ので、“be off the hook” と言うと、「責任や義務から解放される」「罪を免れる」「お咎めなしになる」という意味になります。
針に引っかかっていた魚が、奇跡的にポロッと外れて海に帰っていくイメージです。
The witness changed his story, so the suspect is off the hook.
「目撃者が証言を変えたため、容疑者は罪を免れた/疑いが晴れた。」
You’re off the hook this time, but don’t do it again.
「今回は許してやるけど、次はダメだよ。」
「事業者が楽曲の使用を控えたりはしないか。」
心配は尽きません。
更なる協議が求められています。
この記事での勉強は今回が最後。
今日もお付き合いいただきありがとうございました。
明日はまた別の話題でお会いしましょう。
See you tomorrow.