こんにちは!英語のニュースやスポーツ記事を読んでいると、「文法的には読めるけれど、日本語の感覚からすると妙な表現」に出会ったことはありませんか?

それは前回のブログ “campaign:「セール」だけじゃない!隠された本当の意味と大人のイディオム” の続きをThe Mainichi・“Football: Japan kept on toes by 2022 Costa Rica loss, Tunisia manager swap” で読み始めたときでした。サッカーの日本代表(サムライブルー)に関するこの記事で、このような非常に興味深い英文を見つけました。

 Japan players on Monday were determined to avoid repeating the second-match pitfall which saw the Samurai Blue upset by Costa Rica at the previous tournament.

直訳しようとすると、「前回の大会で、サムライブルーがコスタリカに大狂わせ(番狂わせ)されるのを見た2戦目の落とし穴を繰り返すのを避ける」となってしまいます。

……ちょっと待ってください。「落とし穴」には目がありませんよね。それなのに、なぜ動詞に “saw” が使われているのでしょうか?

英語では”see”と”pitfall”(落とし穴)は相性のいい組み合わせなのでしょうか?それともこの記事を書いた記者さんの奇をてらった表現なのでしょうか?
じっくり調べに行ってきます。少々お待ちください。

無生物主語の文

結論から言うと、実はこれ、英語の世界では日常茶飯事の、それでいてちょっと洗練された表現でした。
まずは、無生物主語の文の確認から。

日本語では稀ですが、英語では、「生物以外のモノを主語にして、それが生物に何かしらの影響を与える文」つまり「無生物主語の文」が普通に使われます。
でもなぜわざわざそんなことを?その利点は何なのでしょう?
例えば、
I was really happy when I heard the news.
「その知らせを聞いて、私はすごく嬉しかった。」
分かりやすくはありますが、なんか単調で説明臭いというか、ダラダラした感じがします。

これを無生物主語の文にすると、
The news made me really happy.

どうでしょう?
とても端的に言い表されていて、シャープに引き締まった感じがしませんか?
無生物主語はニュースレポートなどでよく使われる上級者の表現でした。

「人間以外」が主語になって “see” を使うと

次に 無生物主語の文での “see” を考えてみましょう。

私たち日本人は、どうしても「見る(see)」という動詞を使うとき、「目を持っている人間や動物」を主語にしたくなります。

I saw a movie.(私は映画を見た)

He saw the accident.(彼は事故を見た)

しかし、上に書いたように英語は「無生物主語(人間以外のモノ、事象、時間、場所)」を主語にするのが大得意な言語。人間だけでなく「特定の時代」や「特定の場所」「特定のイベント」も、その中で起きた出来事を目撃する(経験する)主体になり得ると考えます。

では、無生物主語の文での “see” のニュアンスはどんな感じかというと、

  • experience(〜を経験する)
  • witness(〜を目撃する・〜の舞台となる)
  • bring about(〜をもたらす)

それでは “see” が実際使われている場面を様々覗いて理解をさらに深めましょう。

①【時代・年】が主語になるパターン

「〇〇年という時代が、〜という出来事を経験した」と言いたいときに使います。

The year 2022 saw the world face high inflation.
「2022年は、世界が高インフレに直面した年となった。」

The 21st century has seen rapid technological advances.
「21世紀は、急速な技術の進歩を目撃してきた = 21世紀になって技術が急速に進歩した。」

②【場所・舞台】が主語になるパターン

「その場所で、〜という出来事が起きた」をドラマチックに表現します。

The stadium saw a dramatic comeback victory.
そのスタジアムで、劇的な逆転勝利が生まれた。」

The Tokyo market saw sharp price drops today.
「今日の東京市場では、価格が急落する局面が見られた。」

③【プロジェクト・戦略・状況】が主語になるパターン

今回のサッカーの例文(2戦目の落とし穴)と同じ仲間です。特定の試みや状況が、どのような結果を迎えたかを表します。

This new strategy saw a 20% increase in sales.
この新戦略により、売上が20%増加した。」

The project saw several difficulties along the way.
そのプロジェクトの過程では、いくつかの困難があった。」


一つの日本語訳には収まりきらない “see” のイメージが掴めてきたところで、今日の文を訳していきます。

「前回大会のコスタリカ戦でのまさかの敗戦を引き起こした、あの『2戦目の魔物』を二度と繰り返してはならないと日本選手は決意した。」

自分でも使える?

幾つか例文を見てきて、文の内容・雰囲気は捕らえることができるようになりましたが、この表現を使いこなせるようになるのはなかなかの練度が必要な気がします。
時には「少し硬い」「ドラマチックすぎる」文になってしまっても気にせずバンバン使っていきましょう!
いつかきっと「英語上級者」の響きを持ったこの表現を自分のものに出来ると信じて。


そして、運命の第2戦、チュニジア戦がありました。

見事、”pitfall” に落ちることなく4-0の圧勝!
やりました。
まだまだサッカーの話題で勉強ができそうです。

でも今日はここまで
今日もお付き合いいただきありがとうございました。
See you tomorrow.

投稿者

らくだ

身の回りにある無料の素材にチョット寄り道。 そこで出逢った「知ってる単語の知らない意味」をTOEICや英会話に生かそうと日々奮闘中! らくだ君の気付きのブログです。

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